たかま酒店 日本酒の魅力 伝える

2008年12月18日

 【大阪】全国の地酒を取り扱う「たかま酒店」(茨木市東福井)は11月30日、茨木セントラルホテルで日本酒の会を開催した。

 同会は消費者に対して、お酒を楽しみながら、お酒のことをもっと知ってもらおうという思いから企画されたもの。今回は2部構成で行われ、第1部では上原酒造(滋賀県高島市)の山根弘杜氏を招き、同社の酒造りの特長などを紹介した。

 はじめに講義を行った同店の高間一夫氏は酒造りの行程を説明。一般的な酒造行程と上原酒造の造り方を対比しながら詳しく違いを説明した。特に上原酒造のこだわりである箇所では「速醸酛は14日で醗酵が終わるが、同社の特長である山廃酛は28日と長い時間をかけてゆっくりとお酒を造る。これによって酒母中の酸度、アミノ酸度が高くなり味わいの深い酒が出来上がる。また、同社は蔵付の酵母で酒造りを行い、搾る時も天秤搾りと昔ながらの方法で酒を造っている」と、時間をかけて良い酒を造ろうとする同社の姿勢を紹介した。

 続いて、上原酒造の山根杜氏が講演を行い、いろいろな酒蔵で酒造りに従事する中で水の違いによって、造り方に違いが生まれると語った。「灘の宮水は硬水のため造りやすいと感じた。一方、上原酒造は軟水で酒が甘くなる傾向がある。これには山廃が最適ではないかと思い実践した」と、その土地にあった酒造りがあると指摘。速醸酛との違いにも触れ、「速醸酛と違い山廃酛は温度管理が難しく、時間もかかるが米の味を100%引き出すことができる」と、山廃の魅力を伝えた。

 参加者からの質問では「同じ原料、同じ環境で造っても、タンクによって味が違うものができると聞くが、なにか理由があるのか」という問いに対し、山根杜氏は「酒造りは人が行うものなので、同じ条件で造っても違いは出る。同じ親から生まれた兄弟でも一人一人、違う個性を持っているようなものだ」と、ユーモアたっぷりの回答で会場をなごませた。

 その後の第2部では、参加者が杜氏らと語らいながら、料理とともに上原酒造の酒を堪能していた。

 高間氏は同会について「今回の酒の会を通じて、お酒のことをもっと知ってもらい、一人一人の中に酒の指標を作ってもらえたらと思う。蔵元とのかけ橋となっているわれわれと、語りながらおいしい日本酒を飲んで欲しい」と日本酒にかける思いを語った。