国税庁 「清酒製造業の概況」発表、経営改善傾向も

2017年11月21日

 国税庁は平成28年度調査分の「清酒製造業の概況」をまとめ公表した。それによると清酒事業の売上高は1者当たり3億600万円となり前年と比較して900万円増加。営業利益の額も1者当たり560万円で同140万円増加するなど、売上高、営業利益ともに前年より高まった。また、欠損および低収益企業も前年より減少。清酒製造業の経営状況が改善傾向にあることが明らかとなった。

 調査対象者は1610者で、そのうち清酒の製造および移出がない者や清酒製造業の売上高がない者を除いた実質対象者は1551者となり、うち1433者(回答率92・4%)から回答があった。

 販売数量規模別の企業数構成比は、販売数量200kl以下の者が1117者となり、全体の77・9%を占めた。一方で、販売数量規模別の課税移出数量構成比は、販売数量1万kl超の者が12者で、それらの企業で課税移出数量の48・7%を占めるなど、高い数字を示した。

 また、経営状況の調査では、1者当たりの清酒事業の売上高は3億600万円(回答者合計では4379億6300万円)となり、前年と比較して900万円の増加となった。1者当たりの営業利益の額は、560万円で前年と比較して1者当たりの営業利益は140万円増加。売上高、営業利益ともに増加に転じた。

 さらに全体に占める欠損企業および低収益企業(税引前当期純利益額50万円未満の企業)の合計の割合は44・5%と依然高い割合を示しているものの、前年と比較して1ポイント減少し、さらに欠損企業の割合も34・4%から34・2%と0・2ポイント減少するなど、改善の兆しも見られた。

 平成28年度の調査では、30年前から現在に至るまでの10年ごとの製造責任者の状況についても調査。「季節杜氏」「社員杜氏」「代表者またはその親族」の3分類で調査した結果、30年前の昭和61BYでは「季節杜氏」が74%を占めていたのに対し、平成8BYでは62・3%、平成18BYでは35・5%、直近の平成28BYでは15・9%と年々減少している。

 反対に、「社員杜氏」「代表者またはその親族」の割合は高まっており、「社員杜氏」は昭和61BYで12・1%に留まっていたものの、平成28BYでは37・5%に増加。また、「代表者またはその親族」は昭和61BYでは13・9%だったのに対し平成28BYでは46・6%と32・7ポイントも高まり3分類の中で製造責任者がもっとも多いのは「代表者またはその親族」となり、酒造りの現場も大きく変わっていることが明らかとなった。