酒類小売業者、特に業務用酒販店は来年のビール類のコストアップに伴う値上げへの対応を検討している。その中で、全国業務用酒類卸連合会の谷口満勇会長と榎本一二副会長は11月22日、26日にビール3社(アサヒビール、キリンビール、サントリー)と東京卸売酒販組合の加藤稔理事長(リョーショクリカー社長)を訪問し、ビール類の値上げなどに関する業務用酒販店の要望を口頭で伝え懇談した。
その際の業酒連からメーカー、卸業界に対する要望とビール生産会社の答弁の要旨は次のとおりだ。
業酒連からの要望は、“1”料飲店のメニュー改訂時期と外食チェーンなどへの見積提出時期が迫っていることもあり、値上げを発表していないメーカーは早急に発表してほしい“2”末端価格の値上げに関しては新取引制度の際の反省もあり、メーカーは責任を持って対処してほしい“3”容器回収手数料の増額をお願いしたい“4”特約店制度が制度疲労を起こし、特約店の料飲市場への進出がビール価格値崩れの原因になっていることの是正(例えばほかの食品では一般卸特約店と業務用卸特約店とを機能別に分けている例もある)--などを要望した。
これに対し、値上げを発表していないメーカーは、“1”行政当局の指導もあり、一部拡売費、販促費など、差別対価などの是正のため新たな基準を作成、実行中である“2”原材料費アップなど、どこまで吸収できるか。出来ない場合の値上げなどについて検討中である“3”生販三層の公正取引による価格維持、利益確保はメーカーにとっても重要であり、卸、小売(料飲店向け)の価格維持、利益確保に最大限の努力をする“4”シェア競争は成長期のことで、成熟期においてはブランドをしっかり育てて、収益構造体質をつくることが重要と考える“5”容器手数料増額問題は環境問題など、社会的問題でもあり前向きに検討する“6”特約店制度の改革は中長期的課題となっている--などと答えた。
また、卸業界にも業酒連として“1”新取引制度移行の際の失敗(量販店対策)を反省して、新価格の浸透を図ること“2”発表されたメーカーの価格内容など早急に伝達すること--を要望した。
これに対し、卸業界は「酒だけではなく、食品を含めた採算を考える卸もあり、むずかしい点も多く、卸組合としての限界があるが、極力新価格が浸透するよう努力する」意向を表明した。