小売酒販組合中央会 賦課金の基準作りに注力

2008年06月02日

  ■事業方針

 酒類業界は行き過ぎた規制緩和策から無秩序に進行する市場占有率争い、価格破壊の中、消費需要に見合った適切な生産供給の原則を逸脱した混乱状態にある。このような状況下、わが業界は未曾有の小売免許の下付に加えて、不公正な市場価格、不当廉売が継続され営業の継続性が極めて困難な情勢であり、やむを得ない廃業・組合脱会から組合組織の存亡が危ぶまれている。

 平成20年度事業方針は酒類販売の秩序形成と酒類販売管理研修の定着を目指し、更に公正取引の環境整備とルール強化を図り、消費者の適切な飲酒環境整備に向けた組合組織の再生を重点政策としたい。“1”本年は成立する課徴金制度などを実効性のあるものにするため、公取委と国税庁との連携スキームの整備などを働きかける“2”酒類小売業免許制度に対する販売管理研修の実施団体としての組合機能の充実を図り、消費者の適切な飲酒環境整備を推進していきたい“3”昨年の組合組織再生と賦課金のあり方の提言書についても、小売酒販組合、都道府県連合会と意見交換をはかりながら、地域組合組織の適性規模での賦課金の整合性を求め、統合・合併、事務委託管理も視野に入れて組織の再生を図っていきたい。

  ■主な事業

 <酒販制度対策事業>

 (1)酒販制度=現行酒類小売業免許は人的要件のみの免許制度となっており、今後あらゆる業種・業態での酒類販売が拡大傾向となっている。このような環境の中、現行の酒税の保全を目的とする規制では社会的な要請に十分に対応することは困難であることから、酒類販売に係る行為規制を幅広く検討すべきとの意見がある。そのためには酒類業組合法による地域の小売酒販組合の果たすべき役割と酒類販売管理研修の実施団体の事業目的の明確化を図り、小売酒販組合が社会的要請に対応する販売管理と酒類の特性啓発のための団体としての位置付けが必要であると考える。さらに、酒類販売管理研修事業強化の一つとして、酒セミナーを本年11月に実施し、酒類販売管理者などの資質向上を目指す。また、酒類小売業免許(免許人)および酒類販売管理研修の更新性と研修受講の義務化を推進し、酒類小売業者(および酒類販売管理者)は関連法令違反、ならびに監督官庁からの指導に背いた場合には営業停止、免許取消などの罰則整備強化を図る。

 (2)社会対策=飲酒環境における社会的要請は拡大していることから、未成年者飲酒防止のための表示の徹底、対面確認販売における年齢確認を励行する。また、飲酒運転の根絶を求める国民の声への対応として、厚生労働省が公表する酒類に関する指標や資料などを収集し、販売管理の面で活用する。未成年者飲酒防止などのステッカーやポスターの作成、ならびに飲酒事故根絶街頭キャンペーンなどへの啓発活動の積極的な関与に努めたい。

 <組織総務対策事業>昨年、中央会がまとめた「小売酒販組合における組織再生と賦課金のあり方」の提言を踏まえ、本年度においては賦課金の合理性・妥当性のある基準作りを更に検討し、組織再生・加入率向上に努めたい。特に、定額制の導入基準を示し、日本チェーンストア協会や(社)日本フランチャイズチェーン協会などに対する組合加入を推進していきたい。酒類販売管理研修制度については、小売酒販組合(もしくは都道府県連合会)が全国的な酒類販売研修実施主体となって、事業の一環として取り組み、組織再生の一つとしたい。

 <市場近代化対策事業>平成20年2月より、ビールメーカーの値上げが実施された。2年前のオープン価格導入に際しての卸・小売に対するコストオンやリベート基準に関し、一部流通業のコスト転嫁がされず、市場が混乱し今日を迎えており、同じ轍を踏まないためにも、厳しくメーカー、卸に自主基準の徹底とコストオンの公平性を要請している。また、今回、独禁法の一部改正が行われるが、不当廉売、差別対価、優越的地位の濫用などといった違反行為に対して、課徴金制度を導入することとなった。さらに不当廉売などにおける違反行為の認定要件の緩和から、複数回にわたる注意・警告を受けるような累犯的行為に対する強制指導や累積勧告措置などを講じることを望んでいく。あわせて、独禁法45条の申告を各地域で行っているが、累犯的行為者については中央会へも報告し、その地域と協力しながら公取委、国税庁に厳正対処への申告を行いたい。今後は公取委と関係省庁との協力スキームの強化から公取委と国税庁が連携した不公正な取引業者に対する排除命令や抑止力強化を要望していく。また、制裁措置としての差止請求制度を広く活用できるよう事業者団体に対する「団体訴権」の導入を引き続き要望していくこととする。