新興倶楽部 いま何をすべきか

2009年04月10日

 【大阪】大阪の酒販組合役員経験者で組織する新興倶楽部(吹田幹夫幹事長)は3月24日、酒業会館(大阪市天王寺区)で「平成20年度 中小酒類業者経営活性化支援研修会」を開催した。

 開会のあいさつでは、副幹事長の大林氏が「今は世界大恐慌といっていい状況のなか、どの業種でも大変厳しい環境となっている。しかしこの状況を乗り越え、がんばって頂き、今日の講義をぜひ役に立てていただきたい」と参加者に呼びかけた。

 研修会の講師として中小企業診断士の池田朋之氏(アソシエ代表)を迎え「酒類小売業の現状と課題」と題して、中小の小売酒販業者は生き残りをかけて、いま何をすべきかを講演した。

 池田氏は消費者の意識が変化し、本物(こだわり)志向、健康志向、個人志向の3Kとなっていると説明。本物志向としては、偽装問題などから安全志向として本物を求めるようになった。健康志向としては酒類の消費数量をグラフで示し、第3のビール・発泡酒をあげて、低カロリーの商品が売れているなど、健康志向に流れていると分析した。しかし、日本酒はここ数年消費数量が減少をたどっている。それは日本酒は体に良くないというイメージができてしまっているからで、日本酒の輸出数量を見ると、ここ数年で数字を伸ばしている。輸出数量の上位は、1位アメリカ、2位香港、3位台湾となっている。アメリカでは健康志向の高まりの中で、日本食はダイエット食としてブームになっており、日本食に一番合うお酒として日本酒が売れている。なかでも吟醸酒はワインよりも奥が深いと人気がある。日本でも今、若い年齢層では肉より魚がブームとなっている。そこで「和食→日本酒→健康にいいのは日本酒である」と訴えると健康志向として受け入れてくれるのではないかと提案した。また、販売のターゲットの年齢層としては、アラカン(アラウンド還暦)&アラフォーがねらい目で、この世代は高度成長期を身をもって経験した世代であり、豊富な消費経験を持っている。その世代の子どもたちにもそれは受け継がれている。消費経験が豊かということは、物に対する知識やこだわりが強いので、本物志向に訴えることで購買欲へ繋がるとアドバイスした。参加者たちは意見を交えつつ真剣に講義に耳を傾け、質疑応答では参加者の1人から「日本では日本酒は健康に悪いと思われている。日本酒メーカーや組合がもっとメディアで、日本酒は健康に良い。とアピールして欲しい」との要望も聞かれた。