【兵庫】ヤヱガキ酒造(長谷川雄三社長)は10月9日、姫路市のホテル日航で会見を行い、同社を含むヤヱガキグループ4社の2009年9月期の営業概況と、今期の事業計画を発表した。会見には長谷川社長のほか、同社の内海寛明常務、荒尾義巳取締役営業部長、長谷川雄介営業部マネージャーが出席した。
長谷川社長は、ヤヱガキグループ4社の9月期の決算概況について、「グループ全体の売り上げは、前年比95%の48億4000万円、経常利益は、ほぼ前期並みの8060万円となる見込みだ。このうち、ヤヱガキ酒造は、売り上げが15億3200万円となり、前期比102%と好調に推移した。部門別の売り上げでは、清酒は720mlびんやラベルデザインを一新した『八重垣』レギュラー酒の旨口、辛口の好調もあり、国内は金額比で102%と好調だったが、米国向けを中心とする輸出が不振で、清酒トータルでは数量、売り上げともに94%と前期を上回ることができなかった。一方、焼酎は関東市場向けの甲類が好調だったこともあり、本格焼酎を含めたトータルで134%と大きく伸長。酒造会社の伸びに大きく寄与した。2010事業年度の事業計画は、グループ全体で前期比118%の52億7800万円、酒造会社は18億9500万円で123%を目指す」と説明した。
今期の事業戦略について、内海常務は「前期は『八重垣』レギュラー製品の中容量化への対応を図った。今後も中容量商品の需要は増加していくと思われるので、季節商品なども含め、積極的に対応していきたい。また、純米酒、純米吟醸酒は山田錦、雄町など、原料米の品種による酒米メニューで味わいの楽しみ、選択の手がかりを提案する。また、途絶えていた酒米『ヤヱガキ』の復活栽培や、米作りから手掛けた純米酒『佐久佐』も順調に推移している。輸出関連では、主力の米国に加え、今後は香港、シンガポール、韓国など、アジア向けにも力を入れたい」と述べた。
荒尾営業部長は、営業政策について「商品のスクラップ&ビルドでは27品目をスクラップし、逆にリニューアルを含めて24品目を新発売した。今後は季節商材で720mlや300mlびんの新製品投入にも力を入れる。また、安全・安心への対応から、今後は地産地消や原料品種を明確にした商品に力を入れる」と説明した。
長谷川営業マネージャーは、今後の商品政策について「現在の清酒の消費層は団塊の世代が中心だが、今後は若い世代に向けて、訴求していくことが必要だ。市場のニーズを見極めて、今後はマーケットサイドに立脚した商品政策を打ち出していく。また、普段は清酒を飲まない層に対して、音楽イベントや写真の個展など、異業種や文化とのコラボレーションを行い、こうしたコミュニティーの中で、新たな需要層の開拓にも取り組んでいきたい」と新たなマーケットの開拓に意欲を見せた。