高知県酒造組合 竹村理事長に聞く 

2016年07月12日

 【高知】酒類業界でも常に先進的で画期的な取り組みをみせてきた「高知県酒造組合」(高知市)。同組合のトップに昨年8月就任した竹村昭彦理事長。6月から恒例の第13回「土佐酒アドバイザー」研修会も始まり、今年は高知県も自治体として地元の酒造業界を応援する制度をつくった。

 これら最近の県内の動向や今後の見通しについて、竹村理事長にインタビューした(主な内容の要点を掲載)。

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 【土佐酒アドバイザー制度について】

 「今回の研修生は18名で、過去360名の卒業生がいる。当時、酒販店や卸からこうした制度をつくって欲しいと要望があり、平成4年からスタートした」

 「最初は毎年実施し、飲食店の受講者らも増え、その後5年間のブランクを経て近年、再開した。若手の酒販店らも増えたためで、2年に1度の開催にした」

 「大阪など県外からも参加者がいる。●酒師をとるなど熱心で毎週、高知まで来ている」

 【土佐酒の動向について】

 「土佐の酒は、酒質的にもレベルが高い。有名酒販店の市販酒審査会でも高知の酒はトップクラスで通過する。ただ最近は、甘い酒が有利で、土佐酒のような淡麗辛口の酒質はグルコースが低く不利。甘い酒が多い中では薄く感じるため、成績が悪くなりがちだ」

 「だが日本酒は料理を食べながら飲むもので、グルコース別の審査が必要。今年の酒販店の審査会は濃度別にお願いしてもらった」

 【高知県の地酒振興策について】

 「事業体として県などは昨年ロンドンで土佐酒のフェアを開いてくれ、今年も同様に開催する。さらに今年から『土佐酒振興プラットフォーム』の仕組みも出来た。酒造組合に県や農協を加え、県産米を使った土佐酒の振興だ」

 「同制度は、県が窓口となって5月23日に設立総会を開催した。高知には、酒造好適米・吟の夢と掛米用の酒米・土佐錦があるが、他県で熱心なJAを見習って今後は掛米を中心にさらに良質なコメを安定供給してもらいたい」

 「土佐酒の輸出量は、四国の清酒業界で半分を占め、県内でもリキュールをあわせ1億円に達する。ユズに次ぐ規模で、県も力を入れてくれている」

 「とくに来年は大政奉還150年で、再来年は明治維新150年と高知の幕末が注目される大事な時期を迎える。戦国と幕末でローテーションさせているNHKも大河ドラマの今後の企画としてジョン万次郎が面白い」

 「『真田丸』(真田信繁/堺雅人)に次いで来年は『おんな城主・直虎』(井伊直虎/柴咲コウ)。ジョン万次郎役は英語も堪能で俳優として注目を集めているディーン・フジオカ(朝ドラあさが来た/五代友厚)にお願いする。これほどうってつけの企画はない」

※●は、口へんにつくりが「利」の「利(きき)」。