ビール業界がまとめた平成28年1月―12月のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル酒類)の課税出荷数量は525万921klで、前年の537万9518klに比べ前年比2・4%減少となり、平成17年以降12年連続での前年割れとなった。家庭用での缶ビール好調などプラス要因もあったものの、夏場の天候不順に加え、業務用の不振、RTD拡大に伴う需要の移行などが影響した。出荷数量の内訳を見ると、▽ビール=267万klで2・0%減▽発泡酒=73万klで6・8%減▽新ジャンル=186万klで1・2%の減少――となり、すべてのジャンルでマイナスを示した。
ビール業界がまとめた平成28年のビール類課税出荷数量は525万921klで、2・4%減と12年連続でマイナスを示し、過去最低を更新した。ジャンル別では、一昨年19年ぶりにプラスを示したビールもマイナスとなり、すべてのジャンルで減少となった。
特に最盛期である第3四半期(7-9月)の落ち込み(ビールが4・6%減、発泡酒が1・7%減、新ジャンルが1・1%減)が大きく影響した。
ビールは、缶ビールが前年比0・3%増と2年連続プラスを示したが、通年のマイナスをカバーするには至らなかった。発泡酒も一昨年は「糖質ゼロ・プリン体ゼロ」の“ゼロ発泡酒”の追い風があったが、昨年は減少となった。新ジャンルは、アサヒビールは大きく伸ばしたが、全体ではマイナス着地となった。
マイナスの要因については、台風や多雨など最盛期の天候不順や業務用での樽生の不振などもあるが、ワインやRTDへの飲用移行が大きな要因として予想される。特にRTDに関しては、「低価格」「飲みやすさ」「種類の多さ」などから若年層の支持が高く、同じ缶タイプのアルコールで大きなライバルとして立ちふさがっている。
各分野別の出荷状況を見ると、ビールは266万7489klで2・0%の減少となった。発泡酒は72万5460klで、6・8%の減少。新ジャンルは185万7972klで1・2%減を示した。それぞれのシェアは、▽ビール=50・8%(平成27年度は50・6%)▽発泡酒=13・8%(14・5%)▽新ジャンル酒類=35・4%(34・9%)となり、ビール・新ジャンルが増加した。
発泡酒の税制を考える会がまとめた新ジャンル酒類のデータによると、総計185万7972klのうち、「その他の醸造酒・発泡性①」のものが49万1722klで6・3%減、「リキュール類(発泡性①)」のものが136万6249klで0・8%増を示している。
ビール各社の出荷数量は、▽アサヒビール=204万5960kl(0・4%減)▽キリンビール=169万9183kl(5・4%減)▽サントリー=82万5829kl(2・3%減)▽サッポロビール=63万757kl(0・5%減)――となり、引き続きアサヒビール社が首位をキープした。各社のシェアは、▽アサヒビール=39・0%(平成27年は38・2%)▽キリンビール=32・4%(33・4%)▽サントリー=15・7%(15・7%)▽サッポロビール=12・0%(11・8%)▽オリオンビール=0・9%(0・9%)を示している。
「とりあえずビール」の復権は難しかった。一昨年、樽生の好調などで19年ぶりにプラスを示したビールの勢いに期待する声もあったが、結果はチューハイやカクテル類などの市場拡大に伴い、ビール類の市場が縮小する形となった。その一方で、樽生活性化によるビールの復帰、プレミアムビールやクラフトビールの好調による家庭用での缶ビール好調、リキュール類タイプの新ジャンルの前年増など明るい要素も見えている。今後さらに各社によって、「家で、店で、ビールを飲む楽しさ」を訴えることで、再び「とりあえずビール」を日常に取り戻したい。