国税庁は清酒製造業の概況についてまとめ公表した。その中で、回答した1464者中、欠損および低収益の企業は666者となり、前年よりも減少したものの、45・4%が依然、厳しい経営環境にあることが分かった。また、全清酒製造業の製造能力は90万5193klとなり、稼働率は48・3%に留まっていることも分かった。
国税庁は清酒製造業の概況についてまとめ公表した。
調査は清酒製造免許を有しているものに対して行われ、法人は平成27年10月1日直前終了事業年度分とし、個人については平成26年分を調査対象期間とした。
調査対象者数は1591者でそのうち1464者(92%)から回答があった。(平成16年の調査対象者数は1775者で約200者減少している)
販売数量規模別の企業数構成比は、課税移出数量200kl以下の者が78・7%(1152者)を占めた。一方、販売数量規模別の課税移出数量構成比は、課税移出数量1万kl超の者が12者で課税移出数量の49・2%(27万kl)を占めた。
1451者のうち529者で未納税移出を行っており、数量は6万1289klとなった。販売数量規模が大きくなると未納税移出数量が増え、1万kl超の企業では2万1161klを未納税移出していることが分かった。
四季蔵所有企業は62者となり、三季蔵は150者、冬季蔵は962者となった。全企業の製造能力は90万5193klとなり、稼働率は48・3%となった。
清酒製造業の従業員数は1万9925人で製造部門は6369人となり、うち酒造季節従業員は2587人となった。
清酒製造業の業績は、売上高合計で9438億9700万円となり、前年に比べて約500億円減少した。そのうち清酒製造業の売上高は4351億4200万円となり10億円減少した。清酒製造業の売上高総利益は1537億500万円で2・8%増加。一般管理販売費は1475億3000万円で0・5%減、営業利益は61億7500万円で403・5%増と大幅に増加した。全事業の税引前当期純利益は297億5700万円で3・4%の増加となった。
1者当たりの清酒事業の売上高は2億9700万円で前年と比較して500万円増加した。回答者合計では4351億4200万円となった。
1者当たりの営業利益の額は420万円となり、前年と比較して1者当たりの営業利益は340万円増加した。
全体に占める欠損企業および低収益企業(税引前当期純利益額50万円未満の企業)は、666者となり、前年の746者と比べ大幅に減少しているものの、その合計の割合は45・5%となり依然として高い数値を示している。また欠損企業数は504者となり、前年の580者と比べて減少しているが、欠損企業数の割合も34・4%と高い数字となっている。また製成数量規模別でみると、100kl以下の企業の欠損および低収益企業者数は417者となっており、100kl以下の54・6%で欠損および低収益となった。また、5000klを超える企業13者では欠損および低収益企業は1者に留まり、製成数量が少ないほど欠損および低収益企業が増えることが分かった。
都道府県別の清酒製造業の企業者数は、新潟県が最も多く88者となり、次いで長野県が76者、兵庫県が71者となり、最も少ないのは鹿児島県、沖縄県がともに1者、宮崎県が2者、香川県が7者となっている。また、製成数量が最も多いのは兵庫県で11万3765klとなり、京都府が8万7907klと続く。