【熊本】酒蔵はどんな舞台にもなる。熊本地震から3年を経てリノベーションで「寛政蔵」が蘇った通潤酒造(上益城郡山都町浜町54、山下泰雄社長)で7月28日「コス×町(こすまち)」が開催された。「『コスプレ』というポップカルチャーと地域・観光資源の活性化を目指す『町』をマッチングするコスプレイベント」。
蔵元は明和7年(1770年)創業。寛政蔵は寛政4年(1792年)に建造され、県内現存酒蔵で最古のものだった。日本酒商品に「蛍丸」がある。蛍丸は、かつて熊本県北東部一帯を治めていた阿蘇大宮司家の宝刀の名。戦乱のなか、恵良(阿蘇)惟澄は危地を逃れたものの刃こぼれが生じてしまった。矢部(現在の山都町)の入佐の城に戻った夜、無数の蛍がこぼれた刃の上に集まる夢を見ると、欠けた刃が元通りに。それで蛍丸と名付けたとの逸話がある。オンラインゲーム「刀剣乱舞」などもあり「蛍丸」は日本酒に無縁だった人にも知れ渡っている。
イベント主催はコス×町実行委員会。この日は「刀剣乱舞」「鬼滅の刃」「もやしもん」などのファン・コスプレイヤー、カメラマンが九州全域から50人以上集まった。アニメの主人公などになりきり寛政蔵をはじめ仕込み場、小売販売場など異空間の蔵内で心置きなく撮影を楽しんだ。
「蛍丸」ゆかりの同地・小一領神社もイベントに協力しコスプレ撮影が許された。